腸と常在菌の良い関係

腸の健康と肉食のつながりを知る

大腸ガンは怖くない 肉食や脂肪食に偏る食生活の欧米化は、常在菌のバランスが崩れて、未消化タンパク質からアミン、インドールなどを作る常在菌が偏って増殖するきっかけになる。そんな常在菌の増殖を抑えるためにオリゴ糖、不溶性、水溶性繊維や難消化でんぷんを積極的に摂取することが叫ばれている。これらの繊維類をエサにして、酪酸という有機酸を多量に作る菌を増殖させれば良いのである。酪酸が大腸ガンを予防するデータは多い。すなわち、大腸に生息する常在菌を育てることを怠らなければ良いことであり、常在菌に支援を要請することを忘れてはいけないのである。とにかくバランスをとることが良いのだ。

牛肉という赤肉摂取はほどほどに 赤肉の牛肉摂取が増加傾向にあるが 、遺伝子毒性物質が糞便の水分中に増加して、発ガン遺伝子が活性化するというのだ。働き盛りで裕福な50代から60代に大腸ガンが多いのも気になる。赤肉やハムソーセージを焼くことでニトロソ化合物の摂取機会が多くなるのが原因ということだ。赤肉と肉の加工食品の摂取は膵臓がん、前立腺がんの危険も増加をもたらすことも明らかにされているそうだ。魚肉、鶏肉は白い肉なので大腸癌の発生は赤肉よりも低いという調査結果もあるようだ。
胃酸を抑える薬を連用する人は要注意 未消化タンパク質がたくさんできる要因は
1、多量に肉類を食べ続けること。
2、肉魚を消化する胃酸を薬で止め続けていること。
1は偏食の人であり、タンパク質分解の常在菌がどうしても増殖する。
2は胃酸の分泌を止めて胃炎、胃十二指腸潰瘍,逆流性食道炎などの症状を抑えている人だが、こういう人は肉が未消化のまま大腸に行くので、肉を専門に発酵する菌が増えてガンの前駆物質を作る可能性がある。胃の仕事の本業であるタンパク質を分解できないということだ。そしてタンパク不足に拍車がかかって疲れるのである。胃酸を抑える薬を避けることを考えるのが先である。

優等生といわれる菌だって怖いこともある 高脂肪摂取は大腸ガンの発生促進物質として二次胆汁酸があげられる。脂肪摂取に伴い胆汁の分泌は増加する。胆汁の主成分は胆汁酸である。体内で作られた一次胆汁酸は腸内細菌によって部分的な変化を受けて二次胆汁酸になる。胆汁酸は通常タウリンやグリシンが結合した状態で胆嚢から分泌されて脂肪の消化に役立っている。抱合脂肪酸という。腸内細菌の中にこの抱合を切って二次胆汁酸(遊離脂肪酸)という有害物質を作る。ビヒィズス菌も遊離させる機能を持っている。また腸球菌(エンテロコッカス)もその機能を持っていて、抱合脂肪酸をヒマシ油に変化させる。下痢気味になるということだ。腸に良いからといって外来菌を長期に偏って摂ることは感心できないのである。常在菌のネットワーク能を善処することが良いということだ。

 

大腸を痛めてつけていませんか。

※大腸などは便をつくる器官、老廃物の溜る場所、下痢や便秘などとイメージを持たれているが、それは誤りである。
常在菌の数が多い大腸は未消化のタンパク質や多糖類の炭水化物を発酵させてアミノ酸や有機酸をつくる。さらに常在菌と腸の関わりでもっとも注目しなければいけないのが、常在菌が多糖類の炭水化物から作りだす有機酸が多いほど腸の粘膜は強くなり、蠕動運動も起きてくるということだ。さらに大腸内は弱酸性や酸化還元電位が下がり、ガン化を防ぎ、外来のウイルスなどに負けないのである。大腸は発酵してこそ多くの恵みをもたらす。
大腸メラノーシス(大腸粘膜黒皮化)の原因になる、お腹が痛くなる大腸刺激性便秘薬(センナ、大黄)を長期に大量に飲み続けることは腸と常在菌に良いことはなく、腸を健康に導くことから言えば真逆の行為だ。

 

身体の「抵抗力」は腸で出来あがるよ

腸内細菌がつくる発酵物質を知らずして腸の話はできない。 腸の中にいるビフィズス菌や乳酸菌、クロストリジウム、バクテロイデスの一種などが酪酸(らくさん)、プロピオン酸、酢酸という短鎖脂肪酸(発酵物質)をつくる。この発酵環境で、腸内pH(ペーハー)が弱酸性になり病原菌の活動と増殖を抑えることができる。また、酸化還元電位が下がり体のサビが進まなくなる。腸内が健全になると腸粘膜も丈夫になり、広い意味での抵抗力となるわけである。
重要な短鎖脂肪酸をつくる腸内細菌叢の栄養となるのが、でんぷんや食物繊維の消化されにくいもの、そしてオリゴ糖などである。

消化の良いものばかりでは、腸が弱くなる 病気などで消化の良いものばかり食べると、小腸で吸収されて大腸や大腸にいる腸内細菌叢に栄養が届かないので、酪酸(発酵物質)などがつくれなくなり、大腸は栄養不足になる。そうすると大腸は弱り粘膜も薄くボロボロになり、病原菌も簡単に通過できるようになってしまうのである。 何と言っても冷えるようになることだ。点滴中心の治療は腸が弱くなることがお解りいただけるだろう。

 

腸も多種の菌の中でもまれると免疫力がつき強くなる

多種の菌がいた方が腸は強くなる 今と昔の分娩状況から比較するとわかりやすい。自宅で生まれ大家族の中で育ち母乳で育てられた頃の子供は、色々な菌に巡り合って抵抗力をつけていたものである。反対に、無菌管理の病院で出産し人工乳で育てられることを考えると、ついたほうが良い菌から接触を断たれ、抵抗力がつかなくなってしまうこともある。
離乳期には色々な菌が乳児に入ってきて、腸内細菌叢が出来上がって丈夫になってゆくのである。しかし、母乳の離乳期は抵抗力が今ひとつ未熟なので、ボツリヌス菌の感染には最も注意が必要である。

腸内細菌叢がしっかりしないとアレルギーが増える アレルギーを起こさないようにするには腸内細菌叢が元気であること。侵入した抗原を排除したり、腸粘膜よりアレルゲンを通さないことが重要である。

 

ガンと腸との深い関係

腸内細菌叢が悪いとガンを発生させやすい 肉などのタンパク質や脂肪ばかりに偏ると腸内細菌叢の状態が変わり、悪さをするようになる。そしてガン因子を発育促進するようになるのである。腸内細菌叢は環境により良い働きをするが、悪い方に傾くこともあるということである。タンパク質の継続過剰摂取が、腸球菌やウェルシュ菌などによりガン促進物質(アミン類)をつくる事は明らかになっている。その上、高脂肪食を食べると、ガン促進性の胆汁酸(二次胆汁酸)が増えるのだ。腸内細菌の嫌うこと、抗生物質の多用、砂糖の過剰摂取、冷えなどは要注意だ。
腸内細菌はガン予防にはたらく 細菌がつくる発酵物質の1つである酪酸がガン予防に有効であることがわかってきた。
酪酸をつくる菌を育てるためにも、過分な肉・脂肪食を少し減らして、ごはん・繊維食を増やす食事に切り替えると良い。 食物繊維がガン予防になる理由 胃で消化されにくいデンプンや繊維質を食べることで腸内の酸性度が高まり、発ガン物質・ガン促進物質の発生を弱めることがある。
消化されにくい繊維は、大腸で腸内細菌のえさになり酪酸をつくり、酪酸は腸の細胞の栄養素でもあるので丈夫な腸ができるわけである。冷ごはんのように消化しにくいデンプンも良いのである。
最近は免疫の暴走をコントロールする免疫細胞も酪酸の力で育つという。
このことからも、消化に良いものばかり食べていると大腸の菌が鍛えられなくなることがおわかりいただけると思う。

 

食べ過ぎは若さの大敵

老化と腸の関係 老化すると明らかにビフィズス菌などが減って腸内は悪玉ネットワークの連携になることはわかっている。若い頃から良い食生活を積み重ねると、老化せず腸も若々しいことは確かなようである。

腹八分で若さを保つ 食事制限している人のデータを見ると、腸内細菌叢は善玉的ネットワークが作られる。そしてガンの原因となる過酸化物質を分解する酵素を持つ菌が増えるようだ。すなわち発酵という化学反応が活性酸素を減らし若さを保てるのではないだろうか。さらに傷や炎症の治りも早いようだ。

 

腸を愛して、美しく明るくダイエット

アンバランスなカロリー主体のダイエットは老け顔になる。 炭水化物の繊維は腸内細菌叢の大切な栄養素なので、これらの栄養を拒むことは腸の抵抗力を極端に弱くすることになる。すなわち、吸収の良い糖質を少し食べてカロリーを抑えるという発想は便秘を招き、血液は汚れ、冷え性や血流の悪さと、不健康な身体へとつながってしまう。タンパク質や脂質を摂り線維類などの非吸収糖質を併せて摂るダイエットこそ賢く健康的であることを知ってほしいものである。
糖質を避けるダイエットは脂肪を燃焼させ「ケトン体」という効率の良いエネルギー生産サイクルが出来上がり、きれいに絞られ顔も明るくなる。ワンフードダイエットは栄養バランスが偏り老け顔になる。また飽きることでリバウンドによる失敗例が多い。
参考文献/腸内細菌情報オフィス主宰
森下芳行著「腸内革命」「ママのおなかエコロジー」より・一部改変